派遣社員の女性でも住宅ローンは組めるの?審査基準は?知って得する女性専用ローンなど紹介!

派遣社員の女性でも住宅ローンは組めるの?審査基準は?知って得する女性専用ローンなど紹介!

派遣社員の女性は世の中に多くいます。そういった女性でも、住宅ローンは組めるのかと不安になる方もおられるかと思います。 派遣社員をはじめとして雇用形態の違いによる住宅ローン審査基準や実情、オススメの住宅ローンなどをご紹介します。

住宅ローンの仕組み

住宅ローンとは、住宅購入を目的に、銀行や信用金庫などの金融機関から購入資金を借り入れることです。マンションなどの住宅は、中古であっても数百万円から数千万円もするので、多くの人は一括で払うのではなくローンを組みます。

実際、住宅金融支援機構が「フラット35」の利用者に対して行った調査(2017年)によると、全国のマンション購入にかかる所要資金は新築で4,348万円、中古マンションで2,844万円です。

これに対し女性の平均年収は、厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査2017年版」によると、30代前半で241.6万円、30代後半で254万円、40代前半で262.4万円、40代後半で268.2万円です。

これらの数字はあくまでも平均値であり、職業やマンションを購入する地域によっても状況は異なります。しかし、それであってもマンションを一括で購入するのは資金的に困難です。

多くの人にとって住宅購入資金を短期間で用意するのは容易ではなく、お金をためるのに相当の時間がかかります。資金力のある一部の人だけでなく、20代、30代と若い世代、また年収がそれほど多くない人でも自分の家を持てるように金融機関がお金を貸し、借りたお金を分割で返していく仕組みが住宅ローンです。

年収の35%を限度に借りられる

住宅を購入するうえで大きな力となる住宅ローン。しかし、自分が希望する額を確実に借りることができるかといえばそうではありません。

住宅ローンを借りる際に重要になってくるのが、年収倍率と返済負担率です。

年収倍率とは、平均年収を平均マンション価格で割ったもので、この数字は、住宅ローンで借り入れできる金額の目安となります。

次に返済負担率ですが、これは1年間の返済額を年収で割ったもので、年収を占める返済額の割合を示すものです。一般的に、銀行や信用金庫といった金融機関では35%以内が目安となっています。

この返済負担率は、年収によって基準が変わる場合があります。例えばフラット35の場合、年収が400万円以上であれば35%以下、年収が400万円未満であれば30%以下となっています。銀行などではそれぞれ基準を設けているので、各金融機関で確認しましょう。

ちなみに年収250万円、融資金利1.310%、返済期間35年間(元利均等)で単純計算してみると、フラット35であれば借入可能額は2,104万円となります(自動車ローンや教育ローン、カードローンがない場合)。

ただしこれも、物件の担保価値や購入地域によって変わる場合があります。状況によって借入限度額が変わるので注意が必要です。

住宅ローンの金利と返済について

住宅ローンで借入できるおおよその金額がわかったところで、次は返済していく際の金利と返済方法についてご説明します。

まず金利について。住宅ローンの場合、大きく固定と変動の2つに分けられ、変動金利はさらに「固定金利期間選択型」と「変動金利型」の2つあります。

・固定金利

借入から返済終了までの間、金利が変わらないタイプです。借入後に市場金利が上昇したとしても、借入時の金利のまま返済を続けることができます。金利が変わらないので、ローンが終わるまでの返済額がわかりやすく、返済計画を立てやすいことがメリットです。
全期間、固定で返済額が安定していますが、金利が高めに設定されていることがデメリットと言えるでしょう。また世の中の金利が低い時でも、その恩恵を受けることはできません。

・変動金利(固定金利期間選択型)

返済開始後、数年間は固定金利が適用され、その後は市場金利に合わせて金利が変わるタイプです。固定金利と変動金利の中間にあたるタイプといってよいでしょう。

金利の固定期間は3年、5年、10年などで、この固定期間が終わった時点で、固定期間選択型か変動金利型を選ぶことができます。固定期間が短いものは金利が低いのが特徴で、購入後の数年間は月々の支払いを低くおさえることができます。また、固定期間のあいだは返済額を明確に割り出せるのがメリットです。

住宅を購入し、引っ越した後は何かとお金がかかります。それまでの家賃と変わらないローン額であっても、新しい住まいでの生活や家計の収支に慣れるまでは時間も必要です。返済開始からしばらくの期間は、低金利で支払額を確定させることは、自宅購入という新生活を始める人にとっては有用なことでしょう。

なお、固定期間が終了したときに、再び固定か変動か選ぶことができますが、そのときの金利がどうなっているのかは不明です。固定期間は金利が低く設定されていますが、期間終了後は、固定を選んでも変動を選んでも金利が上がる可能性は高いと考えておきましょう。

「将来の金利が不明」「固定期間終了後は金利が上がる可能性が高い」といったデメリットはありますが、固定期間のあいだに貯蓄や繰り上げ返済を行うなど、将来に備えた資金計画を立てることができます。

・変動金利(変動金利型)

金融情勢などの変化により、金利が上がったり下がったりするタイプです。

一般的には半年のスパンで金利の見直しが行われ、返済額は5年ごとに見直しが行われます。そのため、5年間は金利が変わりません。また金利が上昇した場合でも、返済額は変更前の1.25倍が限度となっています。つまり金利が急に上がっても、返済額に反映されるのは1.25倍までが最大で、それ以上の支払いを求められることはありません。(※一部金融機関は異なります。)

とはいえ、金利が上昇することで返済額は増えます。そして、支払う金額が多くなるにも関わらず、住宅ローンで借り入れた元金(利子を含まない借入金=ローン残高)はなかなか減りません。市場金利が低いときはメリットが大きいですが、金利の上下動が返済額にもっとも大きく影響するタイプで、返済計画を立てにくいのがデメリットです。

続いて返済方法についてご説明します。住宅ローンの返済方法は「元利均等」と「元金均等」の大きく2つに分けられます。それぞれの詳細は次の通りです。

・元利均等返済

元利均等返済とは、金利が変わらない場合、毎月の返済額(元金と利息の合計)が一定となる返済方法です。固定金利と同様に返済額が変わらないため、返済計画が立てやすいことが一番のメリットです。

ただし、返済額の中で元金と利息に充てる割合は徐々に変わります。返済開始当初は利息への割合が多く、元金に割り当てられる額が少ないのが特徴です。つまりローンが始まってから数年は、元金への返済に充てる金額が少ないため、借り入れた元金(ローン残高)の減り方が遅くなります。
元金の減りが遅いということは、その元金にかかる利息も減らないので総返済額が多くなります。

・元金均等返済

元金均等返済は、毎月の返済額のうち元金に充てる返済額はずっと一定ですが、利息に充てる返済額は、返済開始当初が一番高く設定されています。 それゆえローンが始まった初期段階は、返済額が高く、負担が大きいのがデメリットです。また初期段階は月々の返済額が多いことから、住宅ローン借入時に、年収に対する要件が高くなる場合があります。

なお、利息は借入残高に応じて計算されるため、元金への返済が進むにつれ利息も低くなっていきます。返済開始当初は高かった利息返済額が、ローンの終盤に向けてどんどん減っていきます。元金返済に充てる金額は一定ですが、利息に充てる金額が減る分、月々の返済額も少なくなります。

また元金均等返済では、返済開始当初から元金に一定の返済額が充てられるので、元利均等返済に比べると元金部分の減りが早くなります。例えば3000万円のマンションで30年ローンを組んだ場合、元利均等返済と比べると元金均等返済の方が、返済総額が少なくなります。

派遣社員の住宅ローン事情

住宅購入と住宅ローンは切っても切れない関係で、多くの人が利用しています。住宅ローンを返済していく上では年収がもっとも重要な要件になりますが、それと同時に20年、30年と継続して返済していけるかどうかも審査の対象となります。

そして、ローン返済能力を判断する要件の一つが雇用形態です。正社員なのか、派遣社員なのか、パート・アルバイトなのか。住宅購入資金を銀行などから融資してもらえるかどうかは、年収のほか雇用形態も影響してきます。

派遣社員は増加

派遣社員が増加している理由は、本人側に由来するものと会社側に由来するものと両方あります。

本人側の理由としては、正社員の仕事が見つからないといった消極的なものもありますが、正社員のように会社にしばられることがなく「自由度が高いから」と選ぶ人もいます。また、正社員として入社するのは難しい大手で働きたい、専門的な仕事がしたいといった積極的な理由も少なくありません。

会社側は人件費圧縮、人員調整など消極的な理由も見られますが、働き方の多様化により派遣社員の数は年々増加しています。
2019年2月15日、総務省統計局が発表した「労働力調査(詳細集計)平成30年(2018年)平均(速報)」の雇用形態別雇用者数を見ると、女性の派遣社員数は2014年(平均)に72万人、2015年77万人、2016年78万人、2017年81万人、2018年85万人と、この4年で13万人増となっています。

ちなみに派遣社員も含めた非正規雇用者は1,451万人(2018年)で、正規雇用者1,137万人より300万人以上も多いという結果です。派遣社員が増えている理由を鑑みても、この傾向は今後さらに拡大していくと推測できます。

住宅ローンを組む選択肢は増えている

従来、住宅ローンを組む人の多くが男性でした。それは、男性のほうが正社員率も年収も「女性に比べて高い」というのが背景にありました。しかしその傾向は今、変わりつつあります。

正社員であったり、年収が高かったりということは、住宅ローン審査において重要な要素ですが、以前はそうしたことに加え、性別も審査の基準の一つとなっていました。
現在は、性別を審査基準に入れている金融機関はほとんどありません。国土交通省住宅局が2017年3月に発表した「平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、「融資を行う際に考慮する項目」という問いに対し、性別と回答した金融機関はわずか16.1%です。

性別は審査項目ではないとしても、「独身は大丈夫なの?」と思うかもしれません。未婚か既婚かも、ほぼ審査項目から消えつつあります。前出の調査で「家族構成」を審査項目にしている金融機関は23.5%です。独身女性だからといって審査に落ちる可能性は低いです。

審査基準と対策について

では、住宅ローンの審査において重要視されるものは何でしょう。

上で述べた国土交通省住宅局の調査によると、「融資を行う際に考慮する項目」で、9割以上の金融機関が回答しているのは、「完済時年齢」「健康状態」「借入時年齢」「担保評価」「勤続年数」「年収」「連帯保証」の7つです。

年収に関しては「年収の35%を限度に借りられる」の段落で説明していますので、それ以外の項目について基準と対策を見ていきましょう。

・完済時年齢、借入時年齢
現在、ほとんどの金融機関で完済時の上限年齢は80歳となっています。仮に返済期間35年で住宅ローンを組む場合、44歳までであればこの項目はクリアできます。ちなみに借入時の上限年齢は、65~70歳がほとんどです。この年齢層でローンを申請しても、80歳までに完済できる資金プランであればローンが組めます。

ただし派遣社員の場合、基本的に退職金が出ないということで、40歳を過ぎてからでは難しい場合があります。できれば30代のうちに申請を行うことをおススメします。

・健康状態

住宅ローンを組む際、特に銀行で組むときは団体信用生命保険(団信)への加入が条件となっています。団信は住宅ローン専用の生命保険で、債務者(ローンを組む人)が死亡、もしくは高度障害に陥った際、その時点のローン残高を肩代わりするものです。
この保険に入るためには、その時点で健康であることが必須です。過去に大病を患っていたとしても、病気の内容にもよりますが3年以上前であれば、基本的には審査に通らないといった心配はありません。

・担保評価

金融機関の多くは購入価格をそのまま評価額にしています。しかし、それは新築の場合で、中古で築年数が古いマンションは、購入価格よりも評価額が低くなることもあります。中古であっても、できるだけ築年数の浅いマンションを選択することがポイントです。

・勤続年数

勤続年数においては、「10年、15年と同じ勤務先でないとだめ」といったことはありません。一般的には1~3年以上であれば、審査はクリアできます。ただし最近は1年未満であっても、「過去に頻繁に転職を繰り返している」といったことがない限りは、審査に通る可能性はあります。

・連帯保証

基本的に、借入額に見合う年収があれば「連帯保証は必要ない」とする金融機関がほとんどです。
しかし、連帯保証が必要な場合もあります。通常は、住宅ローンを組む金融機関系列の信用保証会社による保証となりますが、それに加えて連帯保証人を求められる場合もあります。
数は少ないものの、連帯保証を項目にしていない金融機関もあります。また、フラット35も連帯保証は不要です。

ただし、気をつけてほしい審査項目があります。それは、「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」です。車やカードローンといった高額なもの以外に、水道光熱費や携帯電話料金の支払いで滞納があるかどうかもチェックされます。日頃から、料金の支払いで滞納することがないよう注意しましょう。

派遣社員女性の住宅ローン事例

28歳、年収420万円、2000万円の借入審査通過

28歳の独身女性で、大手企業のCADオペレーターとして派遣勤めを始めて約2カ月。採用年収は約420万円で、2000万円のマンション購入にあたり融資を申請しました。

住宅ローン専門金融機関「アルヒ株式会社」のARUHIフラット35で1800万円、ARUHIフラットαで200万円と希望額全額の融資が決まりました。

ARUHIでは、低金利でありながらも全期間固定金利のフラット35が提供しています。ただ、融資額は物件価格の9割以下という基準があるため、上記のようにフラットαと合わせて希望額全額の融資を実現しています。

フラットαでは物件価格の10割まで借り入れることが可能ですが、金利については変動金利が適用されます。派遣社員の場合、派遣先により収入が増減する可能性もあるため、ローンの支払額に変動があると家計に不安が出ます。そのため、全期間固定金利のフラット35である程度は返済額を安定させながら、とフラットαを組み合わせて希望の融資額を得ることができました。

今回の女性のように、勤務1カ月以上から住宅ローンの審査を受けられるのがフラット35の特徴です。転職して間もなくでも審査を通った理由は「1カ月分の給与×12カ月(1年)=審査年収」として取り扱われたからです。今回であれば、勤続2カ月で受け取った給料の合計が70万円でした。

70万円÷2(勤続月数)=35万円
35万円×12カ月=420万円

28歳のこの女性は、前職と同業種の派遣業務であったことから就業への信頼性があったこと、年齢が若く返済期間を長く設定できること、将来的に転職して年収が上がり繰り上げ返済なども予測されるといったことがポイントです。また審査年収420万円であれば、年収に対する年間返済額も無理がないと判断されます。

パート・アルバイトの住宅ローン

女性の働き方や生き方が自由になった現代において、独身女性が住宅ローンを組むのは難しいことではなくなりました。

しかし、派遣社員や契約社員、パート・アルバイトといった非正規雇用の場合は、必ずしもスムーズに進むとは限りません。国土交通省住宅局の調査にある「融資を行う際に考慮する項目」で、雇用形態を問う金融機関が2014年で74.9%、2015年で77.1%、2016年で78.2%と、少しずつですが上昇しています。

現状では難しい住宅ローン

非正規雇用の人は正規雇用に比べ、住宅ローンの審査に落ちる可能性は低くありません。それは、雇用が不安定であること、正規雇用に比べ年収が低いといったことが理由として考えられます。銀行などの金融機関に申し込んだ場合、パートやアルバイトで審査項目をクリアできる可能性はほぼないといってもよいでしょう。

女性向けおすすめ住宅ローン

パート・アルバイトで住宅ローンを組むのは、非常に難しいのが現状です。しかし派遣社員であれば、いくつかの金融機関が融資しているので、住宅ローンの審査のハードルはそれほど高くないと考えてよいでしょう。ここでは女性におススメの住宅ローンをご紹介します。

フラット35

フラット35の最大のメリットは、審査項目に雇用形態が含まれていない点です。そのため、非正規雇用の人が住宅ローンを組む場合は、フラット35がおススメです。また勤続年数も審査項目に入っていないため、1年未満であっても審査に通る可能性があります。

りそな銀行(女性向け住宅ローン「凛next」)

りそな銀行の女性向け住宅ローンの特徴は、「オリジナル金利」「繰り上げ返済手数料無料」「ローン返済支援保険」「3大疾病保障特約が選べる」の4つです。

オリジナル金利では、同行所定の引下げ幅が適用された金利が住宅ローンに反映されます(諸条件あり)。 ローン返済支援保険は、病気などにより働けなくなった場合にローンをカバーしてくれるもので、保険料は無料です。 3大疾病保障特約は、借入金利に年0.15%上乗せすることで、がんと診断された場合はローン残高0円、急性心筋梗塞、脳卒中と診断され所定の状態が60日以上続いた場合は保険金で住宅ローンを完済できます。

住信SBIネット銀行(アンジェリーナ)

ネット銀行でも、全疾病保障に加えて女性限定のガン診断給付金特約の付いた住宅ローンがあります。借入金利に上乗せなどなく、基本付帯として保険料は負担してくれることがメリットです。

まとめ

派遣社員の女性でもマンション購入を諦めないで!

非正規雇用の人が、住宅ローンの審査に通るのは難しいのが現状です。しかし、今回ご紹介したようにアルバイトやパートではなく、派遣社員であれば一部金融機関で融資を行っています。

そのなかでも、審査に通る可能性が高いのはフラット35です。雇用形態や勤続年数に対する審査基準が緩やかで、多くの人に住宅購入の機会を設けています。現在、マンション購入を考えているのであれば、住宅ローンの選択肢として、まずフラット35を検討してみてはいかがでしょう。

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