資産価値の落ちにくい東京のエリアはどこでしょうか?
マンションを含めた不動産を購入する際、気になるのがこのエリアになります。将来的に売却や賃貸を視野に入れた購入を考えているのであれば避けては通れないポイントです。都心にアクセスしやすい都内での人気エリアとその理由について解説します。
マンションや一戸建て住宅など、不動産を購入する理由は人によってさまざまです。自分の住まいとして購入する人が多いと思いますが、将来の買い替えや売却、資産運用を視野に入れて購入する人も少なくないでしょう。売却するにしても賃貸に出すとしても、「どのエリアで購入すれば、資産価値が落ちないのか」ということは、気になるところだと思います。
「自分が住み、売ったり貸したりしないので資産価値はそれほど関係ない」と思うかもしれません。しかし、賃貸に出すといった不動産運用が目的でない場合も、資産価値が落ちない街ということは、交通アクセスが便利で治安が良いなど、快適に、そして安全に暮らせる街であるともいえます。それゆえ、住まいとして購入したとしても、資産価値の落ちない街を選んだほうが将来的にライフスタイルの変化で買い替えにも対応しやすくなります。
今回は、どういった街の物件を買うと資産として活用できるのかを説明します。
資産価値の高いエリアの条件として5つのポイントがあります。その中でも特に重要なのは、「交通と生活の利便性が高いかどうか」で、具体的には次の通りです。
・交通アクセスの良さ
駅から近いところは、資産性があります。地方都市は車が生活必需品になっているところが多く、駅から近い立地よりも、車を所有できる住まいかどうかが重視されます。ただし、高齢になり車を使えなくなることも考えると、少なくとも駅から10分以内を考えた方が良いでしょう。バス便が便利なところでも、考慮に入れてみましょう。
都内や都内近郊の場合、幹線道路はいつも混んでいるうえ駐車場料金が高く維持費がかかります。そのため、電車で移動するほうがスムーズで経済的です。
渋滞に巻き込まれる心配がなく、移動時間が読める電車は車よりも優位性があるので、駅から近い立地に建つマンションは資産価値が高くなります。特にJRと私鉄、地下鉄など複数路線が揃って、乗り入れている。また各電鉄の快速・急行・特急などの電車が止まるエリアは人気で、駅から徒歩10分以内の立地は資産性があります。
・生活の利便性
駅から近い立地は通勤や通学など移動に便利で、資産価値が高いのが特徴です。そして、徒歩圏内で生活に必要なものがほとんど揃うということも、資産価値に大きく影響します。
具体的にはスーパーやコンビニ、ドラッグストア、銀行、郵便局などが駅から家までのあいだにある。学校や病院、公園が近くにある。駅前などの飲食店が充実している。これら日常生活を送るうえで必要な生活利便施設やお店が揃っていることがポイントとして挙げられます。
続いて資産価値の高いエリアの条件、「居住快適性」「安全性」「将来性」についてご紹介します。
・建物自体と街全体の居住快適性
居住快適性は、建物自体の快適性と街全体の快適性の大きく2つに分けられます。建物自体の居住性とは、例えばマンションであれば長期修繕計画が導入されていて管理がしっかりしている、エレベーターやエントランスなど共有部分のメンテナンスを定期的に行われている、といったことが挙げられます。
街全体の居住性とは、交通アクセスや商業施設などの生活利便施設に加え、街の治安や安全性、緑の豊富さといったものが加味されます。
生活の利便性では、学校・病院・公園といった施設が近くにあることが重要であるとお話ししました。しかし、街の居住性とは、緑豊かな公園など景観・環境の良さを感じさせるものが近くにあること。また、例えばおしゃれなレストランや、老舗の和菓子屋、有名なケーキ屋、品ぞろえのよいリーズナブルなスーパーなど、風格や風情を持った店舗があれば街並みにも夢が広がります。
・自然災害はもちろん犯罪率の低い安全な立地
安全性も資産価値を高めるポイントの1つです。安全性は自然災害に対するもの、そして犯罪に対するものの2つがあります。
自然災害に関しては、地震や台風の影響を受けにくい立地であることが重要です。近年は、ゲリラ豪雨や台風といった水害が多いため、高台が望ましいです。さらに地盤がしっかりした地域であることは、資産価値を高めるうえでは欠かせない条件です。建物自体の耐震性に加え、避難場所が近くにあることも災害に対する備えとして安心感につながります。大岡山、自由が丘、宮崎台など、山・丘・台などの名前がついたエリアは地盤が良いところといえます。
犯罪に対しては、基本的にどういった場所であっても「犯罪が絶対に起きない」とは言い切れません。そのため対応は難しいですが、最低限、建物にはオートロック(できればダブルオートロック)、24時間のセキュリティ体制といった防犯設備が整っていることが必要です。賃貸には一般的にこのような設備がついていません。
・ほかにはない将来性
不動産は将来性で選ぶこと。押さえておきたいポイントは、≪新線・新駅・再開発≫の3つが当てはまる場所を選ぶことです。その理由は、そこに資金が集まっている=資産性を高めるということを目的としているからです。また資産価値も落ちにくいでしょう。
ここまでご紹介した5つのポイントすべてではなくても、3つ以上を揃えていれば、比較的資産価値の落ちにくい立地、物件であるといえます。
東京23区は、交通アクセスが充実していて、23区内であればどこに住んでも移動に不便を感じることはほとんどないでしょう。 渋谷区や新宿区などには商業やビジネスの一大エリアがありますが、文京区や目黒区、世田谷区などの住宅街や学校があるエリアは文化的、アカデミックな雰囲気があり、大通りの喧騒とは違った落ち着いた表情を持っています。東京23区の特徴を紹介します。
都内23区で価格が割安でおススメのエリアは城北・城東地域です。この地域は台東区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、足立区の10区からなっている地域で、23区の中でも下町と呼ばれる地域が多く含まれています。
特に荒川区の日暮里や西日暮里、江東区の豊洲や有明、北区の赤羽や王子、台東区の浅草や三ノ輪は、過去に分譲された新築マンションが中古として流通した際の平均価格が、分譲時よりも上がっているエリアです。
これらの地域は、渋谷、新宿、目黒、品川といった都心の山手線沿線に比べ、マンション価格が割安であることが多いものの、下町に近いこともあり住みやすいのが特徴で、都心までのアクセスが良く生活の利便性が良いことで注目されている地域です。
特に2018年10月11日に新市場がオープンした豊洲を含む湾岸地域は、2020年開催の東京オリンピックの選手村建設が予定されており、オリンピック後は巨大住宅地として再開発されます。そして整備を進めている環状2号線(新橋~豊洲)のエリアに入っていることもあり、今後、資産価値がさらに大きくなるエリアとして注目されています。
東京の場合、不動産価格は西高東低の価格でしたが、オリンピック会場は東側エリアで開催されることもあり、東側エリアに注目が集まっています。
渋谷区渋谷エリアは、渋谷ヒカリエの建設を皮切りに再開発が進む渋谷駅周辺から表参道方面、青山学院がある辺りまでの地域を指します。渋谷駅の上には、現在の東急百貨店東横店の建設工事が進んでいて、東棟、中央棟、西棟の3棟からなる超高層ビルが誕生します。3棟の中でもっとも早いのが2020年完成予定の東棟で、地上46階で高さ230m、延床面積約17万㎡。2027年完成予定の中央棟、西棟も合わせると延床面積約27万㎡もの大規模複合ビルになります。
渋谷駅周辺というとデパートや大型商業施設が集まっており、若者に人気の街です。駅から少し離れると松濤など高級住宅街もあり、政治家や文化人たちの住まいが多く点在しています。百貨店、大型商業施設、高級スーパー、飲食店、病院、銀行といった施設も充実していて、生活利便性において問題はありません。
昔ながらの住宅地も多く、上述した教育・文化施設もあることから、「街全体の居住快適性」の高いエリアです。
渋谷区渋谷エリアは、現在、新築のマンション計画も活性化しています。その中でも注目されているのは、日本初の分譲マンションとして知られる「宮益坂ビルディング」です。現在建て替え工事が行われていて、東京オリンピックの前年の今年竣工予定です。 建て替え後は地上15階、地下2階で店舗やオフィス空間のほか、住戸152戸を予定しています。小規模住宅やベンチャー企業のオフィス用途を見込み、1Kがもっとも多く作られる予定です。
この地域をおススメする最大の理由は、通勤の利便性が高いという点です。JR渋谷駅は、JR東日本エリア内で、1日平均の乗降客数が6番目に多い駅です(2017年)。
山手線、埼京線、湘南新宿ラインのほか、京王井の頭線、東急東横線・田園都市線、そして地下鉄では銀座線、半蔵門線、副都心線が乗り入れていて、都内からはもちろん、神奈川方面からの通勤の利便性が非常に高いエリアです。
また現在では、東急東横線・田園都市線の先にみなとみらい線、東武東上線、西武有楽町線・池袋線もつながり、埼玉方面からの通勤も便利になっています。
東京23区内で、渋谷区渋谷と並んでおススメのエリアは新宿区西新宿です。このエリアは新宿副都心として高層ビルが立ち並ぶ地域で、どちらかというとオフィス街のイメージが強いのではないでしょうか。
高層ビル群のある西新宿エリアは、都庁を中心に南側は新国立劇場や東京オペラシティのある初台、北側は中野坂上の近くまで続きます。
範囲が広いため、西新宿全体としてみれば、新宿駅周辺の繁華街、高層ビル群といった都会的な景観だけではなく、新宿中央公園があったり、神田川が流れていたりとさまざまな表情を持っています。初台や中野坂上周辺までいけば、住宅地も広がり、働くだけの場所ではなく、住むうえでも便利な街といえます。
現在、西新宿エリアでは、新国立劇場周辺の「西新宿三丁目西地区」と中野坂上に近い「西新宿五丁目の北・中央北・中央南地区」で再開発が進んでいて、それぞれ高層マンションの建設が始まっています。
乗降客数が世界一ともいわれる新宿駅があることから、商業施設、金融機関、飲食店などが多く、ここだけですべてのものが揃うといっても過言ではないほど、生活利便性の高いエリアです。これに加え再開発が終われば、より生活に密着した街となり、「西新宿=ビジネス街」といったイメージも大きく変わっていくことでしょう。
新宿駅の路線は、JRであれば山手線、埼京線、中央線、総武線。私鉄は京王線、小田急線があります。そして地下鉄は新宿線、丸ノ内線、大江戸線があります。また同じ西新宿エリアの中には西武新宿線もあり、首都圏のどの地域からでも移動がしやすく、交通アクセスが非常に良いエリアです。
西新宿エリアがおススメの理由は、中古マンションの価格が下がっていない点です。中古マンションの価格が大きく変化していないということは、そのエリアの人気があり、資産価値が高いということの証明です。住居用として、また投資用としてマンションを購入するのに適した魅力的なエリアといえるでしょう。
上記、渋谷区渋谷と新宿区西新宿エリアの魅力をご紹介しました。こういったエリアに、ドアツードアで30分・乗車時間は20分以内にアクセスができる立地が、資産性が落ちにくく人気です。渋谷周辺であれば東急東横線の「日吉」駅や、東急田園都市線の「たまプラーザ」駅、新宿周辺であればJR中央線「三鷹」駅や京王線「府中」駅などが良いでしょう。
東京23区以外でおススメのエリアとしては、川崎・横浜エリアが挙げられます。横浜はもともと人気があり、都心へのアクセスも良いことから今住みたい街ランキング1位に選ばれているエリアです。そして、最近は川崎市の武蔵小杉にも注目が集まっています。
以前の川崎は、競馬場があること、風俗店が多いこと、工場が多いことなどから決して環境の良い街とはいえない部分もありました。しかし、そんな街の風景も変わりつつあります。特に中原区は、2010年にJR武蔵小杉駅が開業したことで都心へのアクセスがダイレクトになり、街の開発が続いていることから人気を集め、タワーマンションの開発が進んでいます。
SUUMOが毎年発表している「住みたい街ランキング(関東)」。その2018年の結果は、横浜が恵比寿や吉祥寺を抑えて1位に輝いています。
2022年には、東急線と相鉄線が相互乗り入れする相鉄・東急直通線の新駅「新横浜駅(仮称)」の開業も予定されています。都心へ直結するラインが開通し、交通アクセスがさらに良くなることから、周辺エリアの整備も行われています。
東急沿線の中では、東急東横線のエリア、次いで東急田園都市線が人気があります。
東急東横線は渋谷から横浜をつなぐ路線で、代官山や中目黒、自由が丘、田園調布といった住宅街を走っています。神奈川に入ってからは、前述した武蔵小杉のように最近になって開発が進んでいる地域も多く、東急東横線が通るエリアは人気がさらに上昇しています。次に東急田園都市線ですが、二子玉川は再開発が終わり大型商業施設やホテル・映画館がオープンし、沿線では一番人気になっています。マンション価格も上がり、その影響は周辺の宮崎台をはじめ、たまプラーザまでも広がりつつあります。
東急沿線エリアは高級住宅街が多く、大学や高校なども多数あって通勤・通学の足として利用されています。沿線付近は治安が良いのが特徴で、女性が一人で住むにあたっても安心できる要素がたくさんあります。これも資産価値が高まる理由の1つです。
下町の雰囲気を色濃く残している荒川区。この地域で特に注目を集めているのが日暮里・西日暮里です。どちらも山手線の駅ながら、これまであまり注目されることはありませんでした。しかし、これまでご紹介してきたエリアのように利便性が高い街です。
日暮里駅は山手線、京浜東北線、常磐線のほか、京成本線が通っています。また2008年には日暮里と足立区の見沼代親水公園駅を結ぶ日暮里・舎人ライナーが開業していて、千葉、神奈川、埼玉、そして足立と多方面からの通勤・通学の拠点の1つです。西日暮里駅は山手線、京浜東北線のほか、東京メトロ千代田線の3路線ですが、千代田線は常磐線、小田急線との直通運転があり、千葉、神奈川のほか東京の中心地である大手町や表参道につながるアクセスも良好です。
日暮里周辺の再開発は、2007年から2009年にかけて高層ビルが3棟建設されました。また日暮里から成田空港まで36分で、便利にアクセスできるようにもなりました。
ただ前述したように交通アクセスが良いことに加え、寺院や古くからの商店街があり、歴史を感じさせる街並みが魅力で、このエリアが持つポテンシャルは決して低くはありません。日暮里の名前の由来は、高台の里で日が暮れるまで富士山が見られるという意味で名づけられました。
さらに西日暮里エリアは、2017年4月に再開発の事業計画の概要が発表されています。この再開発では住宅地だけではなく、文化ホールやイベントホール、防災スペースとして活用できる広場などが建設される予定です。
西日暮里は全国でも東大進学率の高い開成中学、開成高校がある文教地区でもあることでも有名です。このエリアの治安や安全性・資産価値が高まっていくと考えられます。
23区内で今後、資産価値が高まると予測されているエリアは荒川区だけではありません。先述した湾岸エリアもそうですが、東京スカイツリーに近い墨田区押上や錦糸町駅周辺も注目を浴びています。
特に押上は、成田方面から羽田空港を結ぶ新線計画の通行ルートに含まれていることで、大きな期待を集めています。また、山手線の新駅が2020年開業される予定の田町駅と品川駅の中間付近にできる「高輪ゲートウェイ」駅エリアも工事が着々と進み今後、資産価値が高まっていくと考えられます。
ここまで東京23区を中心に資産価値の落ちないおススメのエリアをご紹介してきました。
しかし資産価値はそこに住む人によって考え方は変わってきます。例えば家族で住むのであれば、通勤・通学に便利であることも重要ですが、それ以上に子どもを育てるための環境が整っているかどうかが大きな要件となります。繁華街に近い場所よりは、学校や文化施設が近く、公園や緑が多い治安の良いエリアを求めるでしょう。
一方シングル&DINKS(子供のいない夫婦)の場合は、交通アクセスと日常生活の利便性が重視されます。特に女性の一人暮らしの場合、繁華街から離れていくと暗い場所も増えるため、安全性の面も考慮したうえで駅に近い場所を選ぶ人が多いです。希望条件を考え、最適なエリアを選択するためには、自分の足で探すのはもちろん、プロが無料で相談に乗ってくれる、女性のための快適住まいづくり研究会が運営する銀座・自由が丘・大阪のマンションライブラリーに行かれてみてはいかがでしょうか。そして、プロの意見もうまく取り入れてもいいでしょう。