Chapter1 マンション売却決意編-その2 目の前に8階建てマンションが…

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図ところが、平穏な日々は長くは続かなかった。青天の霹靂とも思える出来事が勃発したのである。 ある日、いつものように会社から帰り、いつものように郵便ポストの中味を取り出すと、その中に、1枚の手紙、というか通知が入っていた。内容は、目の前にある工場を取り壊して、8階建のマンションを建てるというものだった。
目の前の工場は、半分2階建、半分3階建、といった建物で、工場といってもとても静かだし、視界もさほどさえぎられてはおらず、邪魔なところは全くない状態だった。(我が家は5階建の2階)  目の前に8階建のマンションが建とうものなら、うざったいに決まっている。暗澹たる気持ちになってしまった。 だがその時の私は、まだ甘かった・・・
単にうざったいだけではなかった。約1年の工期の間、私には貴重な休みである土曜日がなかった。。。
最初が工場の取り壊し。轟音と地鳴り、地震のようなゆれに加え、おびただしい量の塵がベランダに雪のように降り積もり同時に窓を真っ白にした。窓磨きのなんと大変だったことか。ハウスクリーニングの業者でもよこせ、と思ったものだ。
そしてそれに続く工事。ばっこんばっこん、支持杭を打ったり、これまたうるさいが、平日の昼間は留守だからガマンできるとしても土曜日は我慢ならない。朝8時になると、がーがー始まる。とても寝てなんかいられない。
土曜の8時は、私にとっては深い眠りについている時間なのだ。そんな朝早くから起こされたのでは、体調が悪くなる。それは1回2回のことではないのだ。当たり前だが、工事は夕方まで続く。昼寝もできやしない。騒音を完全に防ぐことは無理としても、建物の構造によっては、多少は緩和されたかも知れない。が、それもできなかった。 というのは、窓の遮音性の問題である。


図サッシは、エアタイトサッシュというのが一番遮音性に優れていて、通りに面していたりすると、このタイプが用いられるようである。その次がセミエアタイトサッシュ。最近のそこそこのマンションでは、静かな住宅地に建っていても、このあたりのもが用いられているようだ。
ところが、わがマンションは、そのどちでもないどころか、等級などさっぱりわからない、薄いガラスで軽く、かろやかに開け閉めのできるものだった。そのため、工事のうるさい音が、直に入ってきたのであった。
ある時など、昼休みに、ヒーリング効果があるんだかなんだか知らないが、でかでかと、ポール・モーリアの「オリーブの首飾り」を延々と流していて、たいへんうるさかったので、苦情の電話をしてやった。工事の音や作業員の声だけでもうるさいというのに、聴きたくもないオリーブの首飾りを、黙って聴いていることもないではないか。 これだけの心理的苦痛を受けたというのに、その代償が、ポストに入っていた、「てぬぐい1本」というのも納得いかない。工期が終わりに近づくと、突貫工事が始まり、休みのはずの祝日まで工事をし、さらに朝8時前から夜の8時すぎまで作業は続く。 まったくをもって、とんだ災難であった。


図やっとのことで1年が過ぎた。完成したマンションは、うちとは15mほど離れており日照そのものには、大した影響はなかった。もともと日当たりの悪い部屋だから、当然といえば当然かも知れないが。さて、日当たりに関しては最小限の影響にとどまったものの、マンションのお陰で、空が見えなくなってしまった。空が見えないというのは、視界の拡がりがなく、なんとなくブルーな気分になるものである。
影響は、それだけにはとどまらなかった。またまた音の問題が再燃した。今度は新しくできたマンションの駐車場が原因でだった。最近の駐車場は、機械式が一般的なので、 その操作のぴいぴいという音が、ことのほかうるさいのである。
前にも書いたとおり、我が家の窓は遮音性に問題があるゆえ、うるさい音が、そのまま部屋の中に飛び込んでくる。車には終電はないから、夜中に帰ってきて、ぴいぴいやられると、ほんとにうるさい。 ドアを開けたままで、でかい音でラジオをつけっぱなしの非常識なヤツもいる。私は、本当は、窓に頭を向けて寝たいのだが、うるさいので、しぶしぶ枕の位置を変えた。
とにかくここに引越してからというもの、音の問題には、ずーーーっと悩まされ続けている。これは、ここに住んでいる限り、逃れられない宿命のように思えた。

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