Chapter4 仮住まい編-その2 日々の生活

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仮住まい新居は、非常に静かで日当たりもよく、快適だった。建物は鉄筋コンクリートではなく、鉄骨造だったので、隣ががさがさうるさい人だったら、結構音が響いたかも知れないが、両隣ともとても静かに暮らしている方のようで、天童よしみとは大違いだった。ちょっと気に食わない点といえば、ベランダに屋根がなかったこと。そして生ごみの収集が水、土だったことくらいである。
屋根のないベランダがあるなんて、初めて知った。今までも最上階に住んだことはあったが、ベランダにはちゃんと屋根があった。マンションには珍しくシャッター式の雨戸がついているのを不思議に思っていたが、謎は解けた。ちょっとでも雨が降ると、雨が窓ガラスを直撃してしまうのである。この雨戸、冬場には断熱効果も発揮してくれ、なにかと便利ではあったが、ベランダに屋根がないと、とにかく天気を気にして洗濯をしないといけない。ちょっとでも雨が降ろうものなら、即洗濯しなおしである。
そして、ごみの収集が土曜というのも、これまた大変な心の負担であった。東京都23区の場合、生ごみの収集は、だいたい月木、火金、水土、という組み合わせになっている。私のお好みとしては月木なのだが、私に合わせてごみの収集日を決めてくれるはずもなく従うほかない。
分譲マンションの場合、普通はゴミの小屋が併設されていて、(ほんとはよろしくないが)いつでも捨て放題である。それを管理人さんがゴミの収集日に、指定の場所へ出してくれるのだが、賃貸ではまずそれは望めない。前のマンションに住んでいたときも、なるべく収集日の朝に出していた私だし、これからもそうするつもりでいたが、土曜日が収集日となるとそんな簡単なことが大変なことになる。まず、ゴミは8時までに出すことになっている。8時半くらいまでは大丈夫とみたが、土曜の8時半に起きるというのはたいへんだ。起きて、着替えなくては行けない。戻ってからまた寝るといっても、結局目が冴えてしまう。これから夏に向かって、水曜1回だけ生ゴミを捨てるのでは、やはり無理がある。前日の金曜の夜、道端の一角にあるゴミ捨て場を覗きに行ってみたが、ここらに住んでいる人はみなたいへん几帳面な方とみえて、誰1人としてフライングしてゴミを捨てている人はいなかった。そんなところに私1人ゴミを出したものなら、「これだーれ」の張り紙をされそうでこわい。小心者の私は、この仮住まいの期間中、眠い目をこすりながら土曜の早起きを続けたのであった。冬場は、下だけはきかえて、上はパジャマのまま、その上にコートを引っ掛けてゴミ出しをしたこともある。
引越してから、私には土曜の朝のまどろみというものがなくなったのがなんといっても一番の悩みだった。それと、やたら大家さんと出くわすのも、なんとなく・・・だった。どういうわけだか、階段のあたりでステテコ姿に団扇手に、すずんでいるのである。ひろーい庭ですずめばいいのに、である。さらに休みの日にちゃりんこで買い物に行くと、帰ってくると、、、またいるのである。自転車置場に行くと、大家さんのお台所の前を通るので、わかってしまうのである。大家さんといっても、だんなのみ、奥さんなどとはほとんど顔を合わせたことはなかった。う〜ん、ちょっと・・・ということもあったが、これは本題とは関係ないので、ここでは触れないことにする。
肝心要の新しいマンションの方は、というと、設計変更会の連絡が入った。

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