Chapter3 マンション購入編-その1 どこに住むか…

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図「400年に1度のめでたい日」に売れたからには、次を買うのみとなった私だが、次をどんな物件にするかについては、譲れない条件というのはいくつかあったものの、さほど悩んだ覚えはない。譲れない条件というのは、会社に近く駅から徒歩10分以内であること、日当たりのよいこと、そして造りがしっかりしていること、この3点である。これは考えるまでもないことだった。
そして、今回考えた上で条件に入れたのは、「私も住みたいけれど、他のみんなも住みたい場所」。それと、できれば周りより1段高く、眺めのよいこと、だった。周りが1軒家ばかりであれば、5階でも充分な眺めだろうが、マンションだらけであれば、5階程度では眺望は望めない。かといって、特に高層にこだわっていたわけではなかった。


売却した物件は、会社にも近かったし、買い物も便利、銀座にも乗り換えなしで行けたし、結構便利だった。おまけに、電車ではいつも座れた。都内で、朝座って会社に行けるところなど、そうないだろう。だけど…みんなが住みたいと思う場所ではなかった。土地カンのある人には、便利だということがよくわかるだろうが、区外からわざわざ買おうという人は、なかなかいない。これが売却するときに苦労をした所以の1つである。


この「私もみんなも住みたい場所」選びは、結構難しい。まず、出せる金額に限りがある。それに、私にはこれといって住みたい場所というものがなかったのである。常日頃からノーブランド志向の私は、青山にも代官山にも自由が丘にも別にあこがれがなかった。青山なんて、通勤には不便だし、物価も高い。金持ちなら別だが、紀伊国屋で日用品を買っていたのでは、破産してしまう。代官山だって急行はとまらないし、JR沿線でもなく、面倒な場所なのでほとんど足を踏み入れたことがない。第一、渋谷乗り換えはまっぴらごめん。自由が丘にしたって、会社から遠いからパス。
とまあ、こんな具合である。 (わざわざ書くまでもないが、これは全て自分が買えるかどうかということは、棚に上げての話である)
小島先生に、「どこに住みたいですか」と聞かれたときも、首をかしげてしまったくらいである。あえていうなら、今まで住みなれた○田区が、住民を大切にしていて住みやすく、愛着もあったので、○田区内の物件がいいな、程度であった。会社のある××区などは、○田区の隣にありながら私の目にはあまり住民を大事にしているふうには映らず、住みたくなかった。私のこだわりなどそんなものである。


そんなとき、研究会から送られてきた、これから売り出すマンション一覧に出ていた1つの物件に目がとまった。
「中○△駅徒歩10分」
しかも、私の買えそうな広さとお値段ではないか!
目がとまったどころではなく、釘づけになってしまった。
それに…中○△といえば、私から見れば、ゲーノー人の住む場所としか思えない。その昔、「西部警察」が一世を風靡していた頃、私は舘ひろし様の大ファンだったのである。マンションを買おうと思って読んでくださっている方々ならば、西部警察を知っている世代だろうと推察して告白しているのだが、当時の私は彼の出ている雑誌を全て買うことはもちろんのこと、ポスターは何としても手に入れ、コンサートにも出かけて行ったのである。そのコンサートの最終日に、今は亡き石原裕次郎さんをはじめ、石原軍団の面々が応援にかけつけた時など、あまりのかっこいい集団に発狂しそうになったくらいであった。で、舘ひろし様と私のマンションとが、何の関係があるのかというと、当時の雑誌のインタビュー記事に、「中○△から御殿山に引っ越した」ということが載っていたのである。舘ひろし様もお住まいになっていた中○△。多分、その時から私の潜在意識には、「中○△=ゲーノー人の住むところ」と深く刻まれていたのではなかろうか。
その地に、私が住めるかも知れない!


図これは画期的なことというか、夢のような話だった。(今現在、私は格別舘ひろし様のファンではない。50を過ぎても相変わらずかっこいいなぁと思うくらい)それに、同僚のS男も、中○△で、中山美穂と一緒に焼肉を食べたと自慢していたではないか。(見ただけじゃなくて、一緒に食べたそうである。でも2人っきりではありません)かの美人女優、みぽりんも来るところなのだ、中○△は。
早速この物件について聞いて見ると、なんともがっかりなことに、大きな通りに面しているということであった。その時の私は、大きな通り沿いなど論外であった。うるさそうだし、空気はきたなそうだし、やっぱり私が買えるなんて、おかしいと思ったんだ…と一度は諦めたものの、どうしても頭の中から、中○△ の三文字が消えない。あきらめきれない私は、再度研究会の門をたたいた。

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