Chapter1 マンション売却決意編-その3 大御所、天童よしみ登場!

1 | 2 | 3 次のページ→

図さらに、決定的ともいえる「音問題」が勃発した。またもや隣である。兄妹で住んでいた隣は、いつのまにか、夫婦に構成が変わっていたようなのである。そのこと自体には、なんら問題もないのだが、新しく住人となった妻、が滅法うるさいのであった。 なにがどううるさいかを語る前に、ザ・元隣人は、私のような常識人ではちょっと考えられない生活習慣をお持ちなので、ご披露しておく。
まず、いつも、玄関のドアは「全開」。部屋に風を入れるために、10センチくらい開けている人は多いが、全開にしているのは、隣くらいのものである。 (のぞ いたことはないが、リビング側のサッシも全開にちがいない)
その全開のドアは、春夏秋のみならず、真冬の12月まで続く。それも夜まで全開状態なのだ。実際にその様子を見た友達は、驚きに目をまるくし、こめかみのところでくるくるぱあをし、「頭、へんなの?」と私に問うた。
おまけに、いつもいつもでかい声であははは、あははは、と笑っていらっしゃる。朗らかというより、ばかじゃないかと思うレベルである。ダンナの声はうんともすんともしない。一人ではしゃいでいるのである。それじゃあ、ダンナがいない時は静かかというと、それがそうではない。
電話の声がまたばかでかいのである。マンション中に響き渡っていることもしばしば。私が会社から帰って建物の中に入ると、それはそれはばかでかい話し声が聞こえてきたことがあった。まるで住人への館内放送のようである。廊下で誰かが大きな声で立ち話でもしているのだろうが、もっとお上品に話せばいいものを、と思いながらあたりを見まわしてみたが、それらしき人物はいない。おかしいな、と思って我が家の前に到着して、初めてわかった。その声の主は、全開のドアの向こうにいる、隣の女であった。
女の声は、こっちが窓を閉めていてもあちらが全開にしているせいか、まるですぐ隣にいるように聞こえることがあって、ぞっとしてしまう。 盗み聞きしているような気分になり、気をきかせて席をはずしたこともある。(つまり別の部屋へ移動した)


図朝っぱらから、ベランダで、「バナナがどうしたこうした、あははは」とやられたこともある。ご存知のように、私の起床時間は、 隣より遅いのである。マンションは木と紙とで造られている日本の家屋とは違い、コンクリート製なので、どんなにでかい声を 出しても、隣に聞こえることはない、と信じこんでいるとしか思えなかった。
うるさい家の隣というのは、たいがいが静かな家である。 静かゆえ、うるさファミリーは、隣の音なんか聞こえたことがないか ら、自分ちの音も聞 こえ るわけがない、と信じこむ。 対する静かファミリーは、こんなに聞こえるんだ、とびっくりし、更に気をつかって静かにする、とこうなる。理不尽だが、こうしてうるさファミリーがのさばるのである。
話を戻すが、ザ・元隣人の傍若無人の振る舞いは、でかい声だけにとどまらなかった。ある時から、夜中の12時近くになると、そこにばたんばたんとたんすの引出しだかなんだかを開け閉めする音が加わった。100回くらい開け閉めするのだが、たまの1日なら衣類の整理でもしているのだろうとお察しすることもできようが、毎日のように、である。 こっちはうるさくて眠れない。


図風邪にかかって会社を早退した日、私は覚悟を決めて、静かにしてください、と言いにいった。熱があって寝ているので、静かにお願いしますといったのだが、応対に出てきた天童よしみみたいな『うるさ女』は、「うちはうるさくなんかしていません!隣に行ってください!」と、すっごい剣幕で応酬してきたのである。 唖然としてしまった。
目の前の天童よしみは、自分がうるさくしているのを棚に上げて、いや、シベリアかどこかに追いやって、居直っているのである。
常識ある知識人の私の頭の中には、こんなシナリオはなかった。辛うじて、「うちの隣は廊下なんですけど」といったものの、天童よしみはすごい形相で、ふざけるな、という姿勢を崩さない。とにかくおっかない。
普通、こっちがあれだけ低姿勢にでていたら、「うちはうるさくしているつもりはないんですけど、どういう音ですか?」くらいの応対をするものだ。非常識なやつは、どこまでも非常識だ。
「だいたいね、あんた、先月、一週間、いなかったでしょ? 新婚旅行だかなんだか知らないけどさ、留守の時は、ほーんとに静かだったんだからね。あんたんちのポストに郵便物がたまっているのだって確認したんだから。覗いたわけじゃないのよ、見えたのよ!これが偶然の一致といえて!?ふざけるなだ! …」といってやればよかった。
できるものならマンションを買い替えよう、そう決意した事件であった。
(PS:天童よしみさん、ごめんなさい。あなたの歌唱力には、いつも敬服しております)

↑ ページのトップへ戻る
<< 夢の東京タワー・ゲット物語トップへ戻る 1 | 2 | 3 次のページ→