Chapter3 マンション購入編-その3 決断の時

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「決断」するのは、早かった。だいたいにおいて、マンションというものは、青田買いである。現地を見にいったとて更地だし、イメージもなにもあったものではない。モデルルームを見ても、自分が買おうとする部屋と同じタイプはまずないし、何をもって決断するかは、その人次第。
ペット同居可、は気にかかるものの、こんな都心の一等地の最上階に住めることの魅力に私が勝てるはずはなかった。うじうじ悩むこともなく、翌日の朝一番で、不動産屋に電話して申し込みを入れた。つまり、どうしようかな〜と思っていたのは、たったの数時間だったことになる。
マンションを買うということは、お洋服を買いかえるのとはわけが違う。何千万もの借金を背負いこむわけだし、慎重になるのが普通だろうが、その一方で、「よし、決めた!」という思いきりも大事である。金に糸目をつけないで、自分の好きなように建てられるのならともかく、限りある資金でマンションを探そうと思ったら、「完全」に気に入ることなど有り得ないのである。どうしても気にいらないのならともかく、何10軒もモデルルームを見て歩いても、時間の無駄、というか、そういう人は一生買えないんじゃないかと私は思うのである。だいたい、何千万もの借金をして買うマンションは、それなりの意気込みと勢いがなければ、獲得不可である。売った買ったをさらっと述べている私だが、 「ほんとーに、ほんとにたいへん」 というのが本音である。
私の場合、2度目ということもあり、何でも1度は経験済みゆえ、不安が小さかったということはあるが、その替わり、自分の意志だけではどうにもならない、売れたら、という前提条件つきだったのだから、その大変さをご想像いただきたい。それに、思いきりのよさがなければ、うじうじしているうちに、誰かに横取りされちゃったかも知れない。1軒目の時は、実際にローンの返済が始まるまでは、まずローン審査が通るのだろうか、とかローンを払っていけるのだろうか、だとか、いろいろ不安はあった。が、なんとかなるものである。


図そんなこんなで4月下旬、千趣会の通販でこしらえた実印をばーんと押して、無事に契約を終えたのだった。契約の模様をテレビがぜひ撮りたいといってきたので、OKしたけど、緊張して、もう2度とごめんだと思った。なのに本番では使われず(超高層マンションの特集だったため、本筋とは関係ないこともあって)、協力費用として、金5000円也をいただくにとどまった。雅子の芸能界デビューは見送られてしまった。そしてこの5000円は、2年前から始めたクラシックバレエのレオタードに化けたのだった…

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