Chapter2 マンション売却編-その4 契約は、400年に1度のめでたい日

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売主、買主、双方の合意がとれると、正式に契約の運びとなるわけだが、買主様は、なぜか契約を、とても急いでいらした。 電話で不動産屋のC男が言うには、 「うらない」で、2月中に契約、6月末に引越し…と先方が決めている、とのこと。 「うらない」とは、なんぞや? 私の頭に浮かんだのは、「占い」「売らない」…これくらいである。が、どちらもふさわしくないし、もしや私の知らない言葉だろうか、と思って聞いたら、やはり「占い」のことだった。
そういう占い結果がでているらしいが、私が最初に頭に浮かんだ「占い」を否定してしまったのは、買主様がしごくフツーの、よさげな人だったからである。占いにこっているような人には、とても見えなかった。まあ、一世一代の買い物だし、方角だとかいろいろ気にもなるだろうから、別に変な人ということにはならないだろう、と思った。
それに、契約が済まない限りは、口約束の域を出ないわけだし、やっぱりやめる、と言い出される可能性だってあるわけである。早いに越したことはない。
このようなわけで、契約は買主様が見にいらしてから、たったの3日後、2月29日となった。この2月29日というのは、4年に1度のうるう年なんかとは、わけが違う。なんと、400年にいっぺんのめでたいうるう年だったのだ。なんでも、4年に1回のうるう年は、100年に1回、調整のために29日がないのだが、400年に1回は、さらに調整のために29日がある、とこんなだったように記憶している。


図引き渡しの期日も「占い」にしたがい、6月末ということで、無事契約も済んだ。
しかし、相手も人間である。6月末の引き渡しということになってはいたが、あとから、お金は用意できるから引渡しが早くなる分には一向にかまわない、といってきた。
それはそうだろう。買ったら、すぐにでも住みたくなるのが人情というものだ。一般的に、契約から引き渡しまでは3ヶ月が普通で、4ヶ月は長い方らしい。私にとっては長ければ長いほど、仮住まい期間が短くなるわけだし、ローンを払って残債を減らした方が得である。
買主様は、「引越しはいつごろか」と、不動産屋を通じて、何回も問い合わせてきた。が、私は早く出る気なんて、さらさらなかった。
だって、6月末に引っ越すって占いで決めたのは、そっちでしょ〜。

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