Chapter2 マンション売却編-その2 行動開始!

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図売るためには、まさか自分で「うちのマンション、いいマンションですよー。買いませんか〜」と行商して歩くわけにもいかな いのだから、仲介業者(不動産会社)と媒介契約を結ばなければならない。どこと契約しても大差ないだろうが、とりあえず2社に 見積もりに来てもらった。2社とも、ほぼ同じくらいの査定価格だった。査定価格というのは、周辺の取引相場(坪単価)で ほぼ決まってしまうようで、私の部屋のようにぴっかぴっかでも、築浅であっても、少々のプラス査定にはなるものの、ば〜ん と値がつりあがるわけではない。それがちょっと、いや、かなりにくたらしい。そこいらのぼろっちいマンションと一緒にされた のでは、「あたくし」のプライドが傷つく。
見積りに来た不動産屋はみな、「きれいですねー」と驚いていたが、ちょっと つけ加えさせていだくと、定期点検に来た大工さんなどは、「なんでここんちの 床はこんなに光ってるんだ?あっちのきたねー家の奥さんに見せてやりてーな」 とおっしゃったくらいである。(事実である)
そうなのだ。我が家のフローリングは、ぴかぴかで、床にテレビが映っている くらいなのだ。なんせ、高級な高いワックスをせっせと塗りこんである。それに、 子供がいてごちゃごちゃしている家とは違う。すっきりしている。
とはいえ、相場からかけ離れた価格にはできない。2890万円で売り出すことに決めた。購入価格が3650万円だから、これでも充分損をしているし、この他にも諸経費でかなりの金額がかかっているからして、超大損だ。だが、この5年間、買ったがゆえにいい暮らしができたのだと思えば、腹も立たない。それに、譲渡損失で確定申告をすれば、がっぽり税金が戻ってくるはずだ。1000万も損した・・・とくよくよしない、こんなことではくじけないところが、私のよいところである。
そして新聞の折込み広告もできあがってきた。住宅情報にも、まもなく載る。広告には、「これほどきれいなお部屋はまずありません。ぜひご覧ください」というコピーを追加してもらった。
見に来てくれた時のために、パンフレットのコピーも10部用意した。自分の間取りのページには、マーカーもしたし、物件価格表も紛れこませた。本来、価格表はパンフレットとは別個になっている。でも一緒に見せてあげた方が、最初はこんなに高かったのに、すごく安くなっていると、得をしたような気分になるではないか。なんと知恵の働くことか。ふふふふ、と一人ほくそえんで、土日に予定も入れず、万全の体制を整えて、さあ、と張りきっていたものの、、、待てど暮らせど・・・お客様が来ないのである。だ〜れも見に来てくれない。これではお話にならない。


図おかしい。私の頭の中には、既に次のような映像ができあがっていたのである。
まず、最初にパンフレットのコピーを渡して、間取り図をみせながら部屋を案内しよう。なんとなく、感じがいいではないか。そうそう、住んでいる人の印象も大事だ。何千万円もの買い物をするのだから、誰だって怪しげな人から買うのは躊躇する。その点は大丈夫だろう。だけど、とにかく印象がたいせつ。会社ではイメルダの異名をとるほどの私だが、家では結構だらしのない格好をしているのである。大きな声では言えないが、日がね1日パジャマ姿の時さえある。だめだめ、こんな心がけではいけない。なんせ印象が大事なのだ。かといって、家にいながらあまり気張った格好もよろしくない。さりげないおしゃれが肝要だ。さりげないおしゃれといえば、ふんわりしたセーターにフレアーのロングスカート、これでいこう、と思った。すっぴんもいかんいかん、と思った。
そこには、にっこり微笑み、パンフレットをお見せしながら、お洒落な普段着を着て案内している私がいた。
「どうして売ることにしたのですか」 こんな質問が出たときには、「結婚するので、もう少し広いところを探している」 こう答えるように、不動産屋にもよーく言い含めた。ここで、私なりの不動産屋選び(仲介業者選び)について、ちょっと書き記しておきたい。


どこから買っても売っても、仲介手数料は同じだし、そこそこの規模の会社ならば、営業内容も似たり寄ったりだろう。問題は、担当者の力量に尽きると思う。私の場合、最初は中古を買うつもりだったので、飛び込みで不動産屋に行ったが、最初に応対した人が、自分の担当になるとみて、まず間違いない。都合4社と関わったが、担当者によって、こんなにも対応や紹介物件違うのか、とびっくりしたものだ。「あー、こりゃだめだ」と思ったら、さっさと次にいくに限る。さすがの私も、「担当者を変えてください」とは言いにくい。会社を変える方が簡単でよろしい。私など、1日に3社をはしごしたこともある。


図さて今回の場合は、A社、B社、2社に見積もりをさせ、A社と契約に至ったのだが、なぜA社にしたかというと、それは偏に「タイミング」だけの問題だった。
どちらの担当者も宅建は所持していて、それなりの知識もあったし、営業内容(どのように広告するか等の売り方)も似たり寄ったりだった。会社の規模はA社の方が大きかったが、折り込み広告や、ポスティング等は、地域を限定して入れるものだし、聞いている限りは、どちらも同じように思えた。担当者だけを見たら、B社の方が、少々勝っていたかも知れない。が、A社は私が家にいるときに連絡してくるの対し、B社は必ずといっていいほど、留守の時に電話をしてくるのである。たまたまなのだろうが、不動産を売るとなると、これまたタイミングが大事―そう思って、A社に決めたのだった。
話がそれたが、こんなにいろいろ考えて待っているというのに、誰も見に来てくれない。見に来る人がいなければ、売れるわけがない。せっかく土日をあけて待っているというのに、しかもスーパーの買い物さえも夕方までは行かないようにしているというのに、なんなのだ。なんで誰も見に来ないんだ!最初は腹立たしく、そのうちだんだんくら〜い気持ちになってきた。
まあ、売れなければ売れないで、このまま住んでいればいいだけの話である。住むところがないではなし、家族4人で住んでいる人もいるくらいのところに1人で優雅に暮らしていることに変わりはない。自分ではいろいろと「けち」をつけてはいるが、それは贅沢というものであろう。
ただ、売り出し価格の2890万円は、周辺相場に比べて、ちょっと高めなのは否めない。しょうがないけど、少し下げてみようと思った。これで売れなければ、売るのはやめようと思った。一声、140万下げて、2750万円にした。
それでも反応はなかった。

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